6月4日の祈祷会の内容です。

祈祷会   サムエル記上11章「イスラエルの王サウルの勝利と即位」  2025.6.4

 サムエル記は、イスラエルの歩みの中で神政政治から王政政治に変わっていくことを書いています。人々は以前から王を求めていました。それは、イスラエルの人々は周りの民族と絶えることのない戦いをしていく中で、敵が王を中心にまとまって戦っているのを見て、自分たちも戦うためのリーダーとしての王の必要性を感じていたのです。それがサムエルの時代に実現していくことになります。最初の王となったのが、サウルでした。サウルはベニヤミン族出身で、誰よりも背が高く美男子だったのです。イスラエルの王としてサウルを選ばれたのは神ご自身でした。

 10章の前半で、サムエルはサウルに油を注いで、イスラエルの王としました。その時に3つのしるしをサウルに示したのです。10章の後半では、サムエルはイスラエルの人々をミツバに集めました。そして、イスラエルの新しい王をくじ引きで選ぶことを行います。神がイスラエルの王を選ばれるのをくじ引きという手段で示そうとします。そこで、選ばれたのがサウルでした。急に王として選ばれたサウルですが、王として認めない人々もいました。

 そして、今日の11章ですが、急にアンモン人が戦いを仕掛けて来るのです。アンモン人のナハシュが攻め上って来て、ギレアドのヤベシュを包囲しました。ヨルダン川東側の地域です。ヤベシュの全住民は「私たちと契約を結んでください。私たちはあなたに仕えます」とアンモン人のナハシュに答えます。ナハシュは答えて「お前たちと契約を結ぼう。ただし、お前たち全員の右の目をえぐり出すのが条件だ。それをもって全イスラエルを侮辱しよう」といいます。ヤベシュの長老たちはナハシュに「7日間の猶予をください。イスラエル全土に使者を立てます。救ってくれる者がいなければ、我々はあなたのもとに出て行きます」と願っています。ギレアドの使者はサウルのいるギブアまでも来て、報告しました。人々の誰もが声をあげて泣いているのです。そこにサウルが牛を追って畑から帰って来ました。サウルは王となっても、今までと変わらない生活を、この時はしていたのです。

 サウルは人々が泣いているのを見て、その原因を知りました。聞いているうちに神の霊がサウルに激しく降っていきます。サウルは怒りに燃えて、一軛の牛を捕らえ、それを切り裂き、使者に持たせて、イスラエル全土に送ります。サウルは「サウルとサムエルの後について出陣しない者は、その者の牛のようにされる」と告げます。人々は神への恐れにかられ、一丸となって出陣しました。この時にイスラエルが30万、ユダが3万でした。サウルがイスラエルの王となり、アンモン人が襲って来た時に、イスラエルは一つとなって、まとまっていくのです。イスラエル軍はヤベシュの人々に「明日、日盛りのころ、あなたがたに救いが来る」といいました。ヤベシュの人々は喜び祝って「明日、我々はあなたたちのもとに出て行きます。よいようにしてください」と答えます。

 翌日、サウルはイスラエル軍を3つの組に分け、朝の見張りの時刻に、アンモン人の陣営に突入し、日盛りころまでアンモン人を討ちました。生き残った者はちりぢりになり、2人一緒に行き残った者はいなかったのです。サウル王に導かれたイスラエル軍は、アンモン人との戦いに勝利を得ることができました。サウルによって、このアンモン人との戦いの勝利は、イスラエルの王となったことの実力をイスラエルの人々に対して、見せつけることができたのです。

 振り返れば、10章でサウルはサムエルに油を注がれて、イスラエルの王となりました。また、イスラエルの人々の目の前でのくじ引きによって、イスラエルの王と選ばれたことを示すことはできました。でも、急に選ばれたので、人々の中には、サウルを王として認めない者もいたのです。それが、アンモン人との戦いの勝利は、サウルのイスラエルの王としての実力をはっきりと、イスラエルの人々に示すことができたのです。

 アンモン人との戦い勝利した後で、人々はサムエルに「サウルが我々の王になれようかといっていた者は誰であろうとも引き渡してください。殺します」といいます。しかし、サウルは「今日は、誰も殺してはならない。今日、主がイスラエルにおいて救いの業を行われたのだから」と答えています。イスラエルの最初の王として選ばれたサウル、ここまでは理想的な王の姿が見えます。自分たちの力によって、アンモン人との戦いに勝利したのではない、神の大きな御手があって、勝利したと確信しています。そして、自分が王となったことも認めない人々に対しても寛大な姿で対応しています。サムエルはイスラエルの人々に「さあ、ギリガルに行こう。そこで王国を起そう」といいます。人々は全員でギルガルに向かい、そこでサウルを王として主の御前に立てます。それから、和解のささげものを主の御前でささげ、サウルもイスラエルの人々もすべて、大いに喜び祝うのです。

 サウルのイスラエルの王としての歩みですが、初期はこのように自分の弱さを認め、神を信じて、従っていく様子があり、素晴らしい歩みをしていくのです。それがそのまま続けば、本当に良かったのです。これから、サウルは王として高ぶっていき、神に逆らい、サムエルにも見捨てられていき、最後は悲しい戦死をして最後を迎えていきます。人間とは何者か、このサウル王の歩みを見ることで、人間の弱さ、愚かさを知ることになります。

祈り 神よ、聖書の学びと祈りの時を与えてくださり、ありがとうございます。サウルの王としての歩みを見てきました。謙遜で、神に従う素晴らしい歩みです。それ             が、この後、まったく変ってしまいます。人間とは何か、人間の弱さと罪深さを、サウル王の歩みを通して、自分のことと重ねてみることができますように導いてください。この願いを、イエス様のお名前によって祈ります。アーメン。

皆様の祈り「                             」アーメン。

共に祈ってくださり、ありがとうございます。(横山厚志)

コメント