祈祷会 サムエル記上9:14~27「神がサウルを王にする」 2025.5.7
サムエル記はイスラエルの歩みの中で、神政政治から王政政治に変わっていくことが書かれてあります。もともと、イスラエルの人々の中では、自分たちに王が欲しいという欲求がありました。それは、イスラエルの人々は長く近隣のいろいろな民族と戦いを繰り返して来ました。その戦いの中で、敵となる他民族では戦いのリーダーとしての王がいて、王が人々を率いて戦っていたからです。イスラエルの人々は自分たちにもそのような戦いのリーダーとしての王の必要性を感じていたのです。
イスラエルの人々がサムエルを通して神に王を求めた時、サムエルはその王を求めることは悪と受け止めていました。それは、今まで、神が王としてイスラエルを戦いの中で導いて来たのです。それは神を捨てて、人間である王と求めることになるからです。神も反対のようでした。神は、イスラエルの人々は、わたしがイスラエルの上に王として君臨することを退けているというのです。更に、イスラエルの人々はエジプトから導き上った日から今日まで、彼らのすることは、わたしを捨てて他の神々に仕えることだったとさえいうのです。
しかし、それでも、神はイスラエルの人々が王を求める欲求に対して受け入れるようにサムエルにいいます。「人々がいうままに彼らの声に聞き従いなさい。今は彼らの声に聞き従いなさい。ただし、警告し、彼らの上に君臨する王の権能を教えておきなさい」といいます。王の権能をひとことでまとめると、王の奴隷になるということでしょう。そして、サムエルは警告として「あなたがたが選んだ王のゆえに、あなたがたは泣き叫ぶ。しかし、主はその日に、あなたたちには答えてはくださらない」といいますが、人々はサムエルの声に聞き従おうとせずに、どうしても王が必要と主張するのです。主はサムエルに「彼らの声に聞き従い、彼らに王を立てなさい」といいます。
そして、イスラエルの中で初めての王が選ばれるのですが、それはサウルという人物です。サウルはベニヤミン族でした。美しい若者で、彼の美しさに及ぶ者はイスラエルには誰もいなかった。人々の誰よりも肩が上の分だけ背が高かったのです。イスラエルの人々の中で初めて王として選ばれるサウルは、イケメンで背が誰よりも背が高かったというので、一目で目立った人物だということが分かります。サウルがイスラエルの王として選ばれることですが、最初にサウルの父のろばが数頭、姿を消してしまいました。それで、父の命令で、サウルは若者を一人連れてろばを捜しに行くことになりました。これがサウルとサムエルの出会いに導かれます。目に見えない神の導きがあるのです。
サウルは父のろばを捜しに出かけて行ったのですが、なかなか見つめることができないのです。サウルは疲れて、一緒にいる若者に「もう帰ろう。これだけ捜してもろばはみつからない。ろばは諦めよう。父が心配しているから」といって家に帰ろうとします。その時に、若者はサムエルのことをいいます。「近くの町に神の人サムエルがいます。あえば、何か教えてくれるでしょう」というと、サウルは「分かった。でも、その人に持参する物は何もない」というと、若者は「ここに4分の1シュケルの銀があります。これでいかがでしょうか」というと、サウルは「それはいい。さあ行こう」となっていくのです。若者の言葉がなければサウルとサムエルの出会いはなかったのでしょうか。
そして、今日の聖書の箇所になります。サウルと若者は、神の人サムエルがいる町に入ろうとしていきます。サムエルもその町に入って行こうとします。実は、前日に神はサムエルに「明日の今ごろ、わたしは1人の男をベニヤミンの地からあなたのもとに遣わす。あなたは彼に油を注ぎ、わたしの民をペリシテ人の手から救う。民の叫び声がわたしに届いたので、わたしは民を顧みる」と伝えています。何と、神ご自身がイスラエルの王となるサウルを指名しているのです。人々から選んだのではなく、神ご自身がサウルを王として選んでいくのです。この意味はとても大きいです。そしてサムエルがサウルに会うと、神はサムエルに「わたしがあなたにいったのはこの男のことだ。この男がわたしの民を支配する」と告げています。
町に入る城門でサウルは、サムエルが先見者であることを初めて知ります。サムエルはサウルに「わたしが先見者であり、先に聖なる高台に行きなさい。今日はわたしと一緒に食事をしてください。明朝、あなたを送り出す時、あなたの心にかかっていることをすべて話します。いなくなったろばはすでに見つかっています。全イスラエルの期待は誰にかかっていると思いですか。あなたにです」と告げています。この時にサウルは「わたしはイスラエルで最も小さな部族でベニヤミンの者です。そのベニヤミンでも最小の一族です。どんな理由でわたしにそのようなことをいわれるのですか」と答えています。非常に謙遜な態度でいることが分かります。
サムエルはサウルらを広間に導き、招かれた人々の上座に席を与えました。30人程が招かれていたとあります。サムエルはサウルに特別な料理を用意していました。この時にサウルはサムエルと一緒に食事をしたのです。聖なる高台から町に下って、サムエルはサウルと屋上で話っていきます。屋上で共に寝たというのでしょう。朝早く起きて、サムエルはサウルに、一緒にいる若者を先に行かせるようにいいます。神の言葉を聞かせるためという理由です。若者は先に行きます。そして10章の最初に、サムエルは油の壺を取って、サウルの頭に油を注ぎます。個人的に秘密裏に、油を注いでいることが気になります。こうして、サウルはイスラエルの最初の王として、立っていくことになります。神によってイスラエルの王として指名されたサウルが、今後どのような歩みをしていくのか見ていくことになります。
祈り 神よ、聖書の学びと祈りに時を与えてくださり、ありがとうございました。あなたは、サウルをイスラエルの最初の王として指名されました。どのような思いがあって、サウルを王として指名されたのでしょうか。その後に、サウルの歩みは悲しいことにつながっていきます。あなたの御心を少しでも知ることができますように導いてください。この願いを、イエス様のお名前によって祈ります。アーメン。
皆様の祈り「 」アーメン。
共に祈ってくださり、ありがとうございました。(横山厚志)
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