3月23日の礼拝の内容です。

clouds 礼拝
Photo by Brett Sayles on Pexels.com

3月23日の礼拝の内容です。讃美歌は、197.297.315.361.26です。

礼拝説教     使徒15:6~11「主の恵みによって救われる」   2025.3.23

 私たちは、教会暦の中で受難節を歩んでいます。今から約2000年前に、神の子イエス・キリストが、私たちの住む地上に、人間として生まれ、その生涯を歩み、最後は十字架にかけられて死んでしまったのです。このイエス・キリストのこの地上での歩み、そして、最後の十字架は何を現わしているのでしょうか。神の子は私たちのこの地上で味わう苦しみのすべて、悲しみのすべて、または喜びや笑いなどの日常の生活を歩んでくださいました。神の子は、私たちと一緒になってくださり、共に歩んでくださったのです。そして、最後は、十字架刑という最も苦しいことを味わってくださいました。イエス・キリストの十字架の死と復活、これが、私たちの救いの意味です。私たちの救いとは、私たちがこの地上の歩みをして、いつかは死を迎えることになります。死で終りではなく、その先にある神の国に入ることと復活の命、永遠の命を与えられることを意味しています。私たちが、このイエス・キリストによって、どのように救われるのか、それを第1回エルサレム会議で、ペトロが語っています。

 パウロによる第1回伝道旅行が行われました。それは、イエス・キリストの福音がユダヤ人だけでなく、多くの異邦人にも受け入れられたということでした。異邦人にも福音が伝えられていったのです。これは大きな変化を意味しています。それまで、キリスト教はユダヤ教の一派ということができます。しかし、この第1回エルサレム会議を経て、キリスト教はユダヤ教から離れて、独立していくのです。全く違う歩みをすることになります。それまで、ユダヤ人の救いは、モーセの律法を守り、割礼を受けることでした。熱心なユダヤ教徒からキリスト教に改宗したユダヤ人は、自分たちの救いの確認として、イエス・キリストの十字架を信じるだけではなく、従来のことであるモーセの律法と割礼を受けることが大切だと考えていたのです。特に、異邦人には、ユダヤ人と同じく、イエス・キリスト信じるだけでなく、モーセの律法を守り、割礼を受けるべきだといっていました。

 異邦人が、教会に加わることとして、イエス・キリストを信じてから、モーセの律法を守り、割礼を受けるということだとしたら、キリスト教はユダヤ教の一派のままということなり、また、救いの意味もあいまいになっていたでしょう。そこで、キリスト教の代表者たちがエルサレム教会に集まって、話し合ったのが、今日の聖書の内容となっていきます。ここでは、ペトロの登場となっています。今日の読んだ聖書の箇所になります。

使徒15:7~11
「兄弟たち、ご存じのとおり、ずっと以前に、神はあなたがたの間でわたしをお選びになりました。それは、異邦人が、わたしの口から福音の言葉を聞いて信じるようになるためです。人の心をお見通しになる神は、わたしたちに与えてくださったように異邦人にも聖霊を与えて、彼らをも受け入れられたことを証明なさったのです。また、彼らの心を信仰によって清め、わたしたちと彼らとの間に何の差別をもなさいませんでした。それなのに、なぜ今あなたがたは、先祖もわたしたちも負いきれなかった軛を、あの弟子たちの首に懸けて、神を試みようとするのですか。わたしたちは、主イエスの恵みによって救われると信じているのですが、これは、彼ら異邦人も同じことです。」

 ここで、ペトロが語っていることですが、ここまで来るのには、ペトロ自身の苦い経験とローマ人コルネリウスとの出会いがありました。まず、ペトロの苦い経験ですが、イエス様が十字架におつきになる前の最後の晩餐で、イエス様はペトロに「今夜、あなたはわたしを裏切る」といいました。ペトロは反論して「たとえ、みんなが裏切っても、わたしは決して裏切りません」と誓うのです。するとイエス様は「はっきりといっておく。あなたは今夜、鶏が鳴く前に3度わたしを知らないというだろう」といいます。ペトロも「たとえ、御一緒に死なねばならなくなっても、あなたのことを知らないなどと決して申しません」と答えていました。イエス様の言葉を完全に否定して、自分は絶対に、イエス様を裏切ることはしないと誓っていました。しかし、イエス様が逮捕され、裁判を受けることになって、大祭司の庭で、ペトロは周りの人々から、あなたはイエス様の仲間だといわれた時に、激しく否定してしまったのです。3回目の否定した時に、鶏が鳴きました。ペトロはすぐにイエス様のいわれた言葉を思い出して、外に出て激しく泣いたのです。ペトロは自分の弱さを知り、深く悲しんだのです。

 やがて、ペトロは復活されたイエス様によって、弟子として再び立ち上がることができました。使徒言行録の中で、ペトロは最初の説教者として立つことができています。さて、カイサリアにコルネリウスというローマの百人隊長がいました。信仰心があつく、一家そろって神を畏れ、ユダヤ人に多くの施しをし、絶えず神に祈っていたのです。神が幻の中でコルネリウスに現れて、「あなたの祈りと施しは神のみ前に届き、覚えられている。今、ペトロを呼びなさい」といいました。一方で、ペトロはヤッファにいて、
昼の12時ごろ、祈るために屋上に上がりました。ペトロは空腹を覚え、何か食べたいと思っていました。すると、天が開き、大きな布のような入れ物が、四隅に吊るされて、地上に下りてきました。そこには律法で汚れた動物が入っていたのです。「ペトロよ、身を起して屠って食べなさい」という声がありました。ペトロは「主よ、とんでもないことです。清くない物、汚れた物は何1つ食べたことがありません」と否定します。また、声があって「神が清めた物を清くないなどと、あなたはいってはならない」と答えています。そのようなことが3回あったのです。そして、ペトロはコルネリウスと出会うのです。

 ペトロはコルネリウスに「あなたがたもご存じのとおり、ユダヤ人が外国人と交際したり、外国人を訪問したりすることは、律法で禁じられています。けれども、神はわたしに、どんな人をも清くないとか、汚れている者とかいってはならないと、お示しになりました。それで、お招きを受けた時に、すぐに来たのです」と答えています。更に、ペトロはコルネリウス達に対して、「神は人を分け隔てなさらないことが、よく分かりました。どんな国の人でも、神を畏れて正しいことを行う人は、神に受け入れられるのです。神がイエス・キリストによって、この方こそ、すべての人の主です。神は平和を告げ知らせて、イスラエルの子らに送ってくださいました」と語ります。そして、ペトロはコルネリウス達にイエス・キリストの福音を改めて語るのです。このようにペトロが話していると、コルネリウス達に聖霊が降ったのです。聖霊の賜物が異邦人の上に注がれているのです。そこでペトロは「私たちと同様に聖霊を受けたこの人たちが、水で洗礼を受けるのを、いったい誰が妨げることができますか」といい、イエス・キリストの名によって洗礼を受けるようにと命じたのです。

 ペトロは、自分の失敗や異邦人であったコルネリウスに出会ったことで、神の導きがどこにあるのかを知ることになっていきました。これもすべて聖霊の導きによるのです。モーセの律法においては、人は律法を守ることができないこと、律法は人に罪に自覚を示すためにあることです。コルネリウスとの出会いでは、異邦人であったコルネリウスが、ペトロの口から福音の言葉を聞いて信じるようになりました。人の心を知る神は、ユダヤ人に与えてくださった救いを異邦人にも聖霊を与えて、救いを受け入れるようにとしてくださったことです。神はユダヤ人と異邦人の間に何の差別もしなかったのです。

 改めて、神の救いとは何かと考えてみると、人はどうしたら神の救いを得ることができるのでしょうか。神の愛をどのように受け取ることができるのでしょうか。自分自身の努力によって、自分を正しい者とすることによってできるのでしょうか。モーセの律法を守ることによって、神との正しい関係をつくることができるのでしょうか。それとも、自分は自分の無力さと罪深さを認めて、自分自身の力や努力によっては決して手に入れることのできないこと、神から与えられる恵みを受け入れることによって、謙遜な信仰を持って、救いを得ることができるのです。

 私たちが神の救いを得ること、改めて、神の救いとは、自分の死後、神の国に入ることと復活の命、永遠の命を得ることです。そのためには、律法を守ることではなくて、律法を守ることができない、そのために自分の力や努力によっては、神の救いを得ることができないこと、そして、イエス・キリストの十字架の死と復活において、神が私たちに完全な罪の救いを完成してくださったこと、その神の恵みをそのまま感謝して受け取ることによってのみ、私たちの完全な救いが完成するのです。

祈り 神よ、あなたをこのように礼拝することができましたことを心から感謝します。ペトロの経験を通して、神の救いの意味を考えてきました。私たちがあなたの救いを得るためには、自分が罪人であることを認め、自分の無力さを認め、ただひたすらに、神の恵みにすがること、イエス・キリストの十字架の恵みによって、私たちに罪の救いと赦しが与えられていること、ただ神の恵みを受け取ることによって、神の国に入る許可と永遠の命を与えてくださることができることに深く感謝します。いつもこの神の恵みの中にいることができますように守り導いてください。この願いをイエス様のお名前によって祈ります。アーメン。

コメント