10月5日の祈祷会の内容です。

祈祷会

祈祷会     民数記32:20~42「ルベン族とガド族の決断」    2022.10.5

 エジプトを出たイスラエルの人々は、荒れ野の旅を40年間して、いよいよ約束の地に入るところまでやってきました。指導者もモーセからヨシュアに変わることが決まっていました。ヨシュアに導かれたイスラエルの人々は、約束の地に入って、先住民と戦い、勝利し、その土地を占領し、くじ引きによって12部族が土地を分割していくことになっていくはずでした。約束の土地は、ヨルダン川の西側と決まっていました。

 それが、ルベン族とガド族の人々が、ヨルダン川の東側を自分たちの所有地にしたいとモーセに申し出ていきます。ヨルダン川の東側の一部の土地はイスラエルの人々によって、占領地とされていました。アモリ人の王シホンとバシャンの王オグと戦い、勝利していたからです。ルベン族とガド族の人々はたくさんの家畜を持っていました。そして、東側は家畜を飼うのに適した所だったからです。12部族で土地を分ける時には、くじ引きで分けることが決まっていたのですが、それを無視する形で、ルベン族とガド族がヨルダン川の東側の土地を自分たちの所有地にしたいと勝手に申し出ているのです。本来なら、許されないことでした。

 初めて、ルベン族とガド族の人々の申し出を聞いたモーセは怒っています。「イスラエル全体で戦いに出ようとするのに、あなたたちは、ここにとどまるつもりなのか。なぜ、主が与えてくださる土地に渡って行こうとするイスラエルの人々の心を挫くのか」と。そして、モーセは、この時に、40年前の失敗を振り返って、同じようにならないようにと警告しています。それに対して、ルベンとガドの人々は、自分たちはヨルダン川の東側に羊の石囲いをつくり、子どもたちのために城壁のある町をつくるが、自分たちが武装して真っ先に進んでいきますと宣言します。この宣言に、モーセは彼らの要求を許可します。この許可に対して、何度も警告をしています。誓ったことを必ず実現するようにということです。

 ルベンとガドの人々は「わたしたちは主の命じられたとおりに行います」といいます。モーセはルベンとガドの人々のことについて、祭司エルアザル、ヨシュア、イスラエルの人々の諸部族の家長たちに命じます。「もし、ガドとルベンの人々が、あなたたちと共に、皆主の御前に戦いのために武装してヨルダン川を渡って行き、その土地からあなたたちの前に征服されるなら、あなたたちはギレアドの土地を彼らに所有地として与えなさい。しかし、彼らが武装してあなたたちと共に渡って行かないならば、彼らはカナンの土地であなたたちの間に土地を持たねばならない」と。再び、ガドとルベンの人々は「主がわたしたちに語られたとおりにします。わたしたちは主の御前に武装して、カナンの土地渡って行きますから、わたしたちの嗣業の所有地は、ヨルダン川の東側になります」と答えます。

 モーセは、ガドとルベンの人々にヨルダン川の東側の土地を与えます。聖書地図、3カナンへの定住をみるとよくわかります。ルベン族が塩の海の東側、ガド族が、ヨルダン川の東側です。そして、いきなりですが、マナセの半部族の土地が与えられています。マナセに半部族には、キネレト湖の東側です。それは、39節以下で、マナセの子マキルの子らがギレアドに行き、そこにいたアモリ人を攻め、追い出したからです。マナセの子ヤイルとノバの同じようにして、占領していったからです。

 最初に戻りましょう。エジプトを出たイスラエルの人々は、荒れ野の旅を経て、約束の地カナンに入ろうとしています。約束の地はヨルダン川の西側のみと考えられていました。モーセは、後継者ヨシュアによって導かれて、イスラエルの人々全体は、カナンの地に入り、先住民と戦い、勝利し、占領し、約束の地を12部族で、くじ引きで土地を分ける予定でした。それが、ルベンとガドの人々よって、計画が変わってしまいました。聖書地図をみていくと、3カナンへの定住、4統一王国時代、5南北王国時代までは、イスラエルの人々の土地は、ヨルダン川の東西になっています。ところが、6新約時代のパレスチナをみると、ヨルダン川の西側だけで、東側は異邦人の地になっています。そして、現在のイスラエル国家もそのとおりになっています。このことをどのように考えればいいのでしょうか。ルベンやガドの人々が、自分たちは武装して、先頭に立って戦いに出ていくといった言葉を、モーセは受け止めて、許可したのですから間違ってはいないと思いますが、全体的な流れをみていくとモーセの判断はどうだったのかと疑問に残るところです。

 その後、ルベンとガドの人々は実際にどう行動したのでしょうか。ヨシュア記にその結果が書かれてあります。

ヨシュア22:1~4

ヨシュアは、ルベン人、ガド人、マナセの半部族を呼び寄せて、言った。「あなたたちは、主の僕モーセが命じたことをことごとく守っただけではなく、わたしが命じたすべてのことにも聞き従った。あなたたちは、今日に至るまで長い間、同胞を見捨てず、あなたたちの神、主の命じられた言いつけを守ってきた。しかし今や、あなたたちの神、主は約束されたとおり、同胞に安住の地をお与えになったのだから、あなたたちは主の僕モーセから受けたヨルダン川の東側にある自分の所有地の天幕に帰るがよい。

 このように彼らは実際に約束を守っていきます。しかし、ルベンとガドの人々、マナセの半部族は、ヨルダン川の西側で大きな1つの祭壇をつくりました。そのことを知った他のイスラエルの人々と戦いになりそうになりましたが、誤解があったとして、和解し、戦うことにはなりませんでした。その後のイスラエルの人々の歴史は、困難に満ちたものとなっていきます。ダビデによって、イスラエル国家はできました。その後、ソロモン王の時に黄金期を迎え、ソロモン王の死後、国家は南北に分裂していきます。そして、北はアッシュリアに、南はバビロニアによって滅ぼされていきます。バビロン捕囚となっていきます。イスラエルの人々は、今日も困難な歩みの中にあります。

祈り 神よ。祈りと聖書の学びをありがとうございます。イスラエルの人々の歩みを通して、人間の弱さを深く思います。それでも、人間の歩みは続いていきます。神よ、あなたが私たち人間と共に歩んでくださるからです。人間と共に歩んでくださるあなたに深く感謝します。この感謝を、イエス様のお名前によって祈ります。アーメン。

皆様の祈り「                          」アーメン。

共に祈ってくださり、ありがとうございます。(横山厚志)

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